- 2014-10-14 (火) 16:38
- その他
つづき。
「宗教法人というのだったら教義は必要ではないのか否か」
・・・・・この前に、「“道”と”教”の違い（なぜ今、神道なのか①）」だけでも読んでいただけると解りやすいと思うのですが、、、、、神道にはそもそも、『教祖』 も存在しなければ 『教義』『教典』 も存在しておりません。
このことについて、設立当時の神社庁は二つの案がございました。
『神社教案』 と 『神社連盟案』 です。
葦津さんは後者の、『神社連盟案』 を作案されたのですが設立当時は長谷外余男神社本庁総長と神社制度審議会の審議会会長橿原神宮宮司 高階研一さんの間で論争があったのですが、長谷総長は「教義をつくり、それを基とする 『神社教案』」 を一貫して主張されておりまして・・・・・
葦津さんは当時、新聞記者だった渋川謙一氏（のちに神社新報編集長、のちに湊川神社権禰宜、箱根神社宮司。長野・諏訪大社名誉宮司）に、「占領軍（GHQ）は一体どう考えているのか聞きに行ってこい」 とバンス氏の元に走らせます。
バンスさんとは、ウィリアム・バンス氏 当時のGHQの中にあって占領下の日本で国家神道体制の解体を進めた宗教課長を務めていた方で（1936年から松山にて旧制高等学校の講師をしていた方です）、その質問を重く受け止め、
「個人的な考えを述べるならば、八幡様は八幡教、お稲荷さんは稲荷教というような同じ御祭神のグループで教団を作り、教義というものを立てることに意味があるのではないか、神社界はそういう風に動くのではないだろうかと思っておったが、無教義の教団組織の神社庁というものもまた良いのではないか」
「うまく八万の神社の団結に寄与しながら、三年間の実績をつんできた現在の神社本庁の運営を見て、自分たちは満足をしている」
・・・・という言葉をいただき、、、、
まぁなんつーか、どこぞのブログのような上から目線で今の日本の政治家のようなあやふやなコメントというか、何というか（苦笑）ただし、「GHQは神道の敵だ！」「日本人を骨抜きにした」などの意見は多いのですが（GHQに関しては正しいのでしょうが） マッカーサー総司令官は人間的に「神道指令」に対しては葛藤も残っておりましたし、バンスさんにいたっては話し合いのもと靖国神社の存在を認めてくれたりしておりました。
このバンスさんの意見によって、今の形 「神社に教義は必要ない」 の流れに一気に傾き現在に至っております。
・・・・いや、ここは蔭ながら神道を守ってくれGHQとみえない所で戦ってくれた葦津さん達に感謝するところでしょうが。
もう一つの背景として、当時のGHQがもっとも恐れていたことは 『国家神道』 でした（天皇陛下を中心にして、命を投げ出し国を守るという国家主導の神道）。
占領後の流れの中、この国家神道を徹底的に躊躇なく潰すという行為は戦勝国、ひいては占領軍にとっては当たり前の使命でしたが占領終了間間近にアメリカとソ連を軸にした東西冷戦が激化した事情にともなって日本を共産主義に対しての「壁」にしようと非軍事国家への路線を変更されたことにより、緩和された面もございます。マッカーサー総司令官は人間的に神道指令に対しては葛藤も残っておりましたし、バンスさんにいたっては靖国神社の存在を認めてくれたりしておりました。
話を戻します。
葦津さんはなぜ、「教義」に賛成しなかったのかというと、
教団というものを作れば、当然その教義というものを必要とする。教義を作れば、それが正しいか、そうでないかということの正否を立てなければならない。その正否を立てるだけの精神的権威というものがなければならない。敵の戦場にあって、もし、そういう教団としての統一的な教義というものを定めたならば、その点を占領軍が押さえ、自由に教義の問題をコントロールできる。
・・・・ということを危惧されていた、と渋川名誉宮司が記しております。
これは先見の目というものを超えて、どれだけ神道や国のことを深く考えられていたのかが良くわかります・・・・・・・・・
これは今の自分たちにも言えることで、教（教え、知識や理屈）で作ったものなどは本当に脆いものです。常にその教えが正しいか否かを議論しなければいけないし、それが正しいと証明される理論と精神性が求められます。
「教」は自分が立つコンクリートとは成りえますが、自分が立つ足場そのものには成りえない・・・・・といったところでしょうか。コンクリートを固めるのに必要最低限のものは、「水」。例にたとえて言い換えるとさしずめこの「水」とは、行動によって得られる「汗」のようなものでしょうかね。
のちに葦津さんは、「思想研究会（『光栄』研究会）」なるものを開催されております。
つづく。
村雲の自己満足ではありますがモチベーション維持の原動力になってます。
