泥の人形（神様物語④）提案

2013-03-19 (火) 22:02
神様

つづき。

すみません、かなり長い間神々様たちに会議して貰ってましたね（苦笑）

長い話し合いは続きました。何千年も何百年も・・・・・・・智恵を出し合っても決着のつかないまま、歳月だけは流れていく。そこで思兼の神様がぽつりとつぶやきます。

「あの者らが本当に望んでおるものは何なんじゃろうなぁ・・・・・・・・」

「・・・・ん？なんじゃ、思兼の神。何かよい案が浮かんだのか？」

「いいや、案ではない。が、これだけの神々が集まりて、これだけの時間をかけても良き案は浮かばぬでの。この問題を解決するために新しい道しるべが必要じゃと思うたまでよ。」

「ほぅほぅ、面白いの。案ではのうて新しい道しるべ・・・・・か。して、思兼の神は何をどう考えたのじゃ？？」

「まずの。ひとつひとつの”音”いや、今では立派な”声”じゃの。その声をもう一度、拾おて聴いてみることから始めることじゃよ。」

「ふむふむ、、、、、」

「さればの、はじめは ”音” が ”声” と変わり、今では”怨嗟” にまで成長しておる。」

「それでそれで。」

「わしが思うに、わしら神霊やそのまた上の天霊より受け継がれし天乃益人らの魂、生まれたての魂はわしらも同様、ほぼ完全体として輝きに満ち溢れたものとしてこの世に存在しておる。その魂に時に気づきを与え、時に輝きを増させる ”欲” と申すものも、努力すればそれは目にみえる形で手に入り、また形はなくとも心で感じられるようにも作ってあるじゃろう？」

「そうじゃの。はよう先を話さぬか。」

「まてまてそう急かすでない。それでの、ひとつひとつの声を聴いてわしが思ったのは・・・・・・・本当は”何”を求めておるのか・・・・・この”何”の部分が欠けておるとは思わぬかの。」

「・・・・・・ふむふむ、そう言われてみれば何が悲しいのか、何が悔しいのか、何に対して本当に恨みがあるのか・・・・・・・その ”何か” というものが見当たらぬの。」

「わしが思うにの、、、、それぞれ天乃益人らは魂の底の底では己らが”何”を求めておるのかすでに知ってはおる。ただ、そこに気づかぬで目先の的や形あるものを用意をしては、そこから離れたり近づいたり、叩いてみたりさすってみたり、抱きしめてみたり投げてみたり、見当違いの想いにかられたり・・・・・・・・これはわしらが ”悩み” と呼んでおるものじゃの。」

「ふ～む・・・・・・なるほどなるほど、そこまでは分かったぞ。天乃益人らが魂の底の底で求めておるもの、それは”情”じゃの。与えられし”情”。そこまでは分かりはしたが・・・・さて、その後はどうするべきか、策はあるのかの？」

「さてここからが難しいんじゃよ。なんせ情とは形の無きもの。またあの者たちは求めるがあまり与えることを忘れておる。いえば、”生み出せぬ者たち” なんじゃよ。生み出せぬがゆえに、己の目的まで生み出せぬ。日ごろ、それを忘れぬようにと心を少しでも豊かに保たせ、余裕を生み出し、先に生み出すこと・与えることを忘れぬようにと特別に教えた ”感謝” というカラクリも、その頭では理解できても心が満足しておらぬで祓いや清めでは足りぬ、今の魔界と呼ばれし結果がある。しかしの、ここまで来ればかなり答えに近づいたと思わぬかの？」

「いやいや、思兼殿が申されておることはよう分かったが、情とは理屈で言うて分かるものでもないしの。それを今更、魔界に教えても意味も少なく解決はせぬと思うが・・・・・・・・・」

「まてまて、最後まで話をさせてくれ。解決はせぬが一かバチかで今の魔界の膨張をなるべく止める方法はある。」

「よしよし、その話を聞こう。」

お金・異性・家族・恋人・平和・健康、、、、、、日頃は目にみえるもので判断し、それを基準としているわたし達ですが実は目にみえるものほど儚いものはございません。

思兼様は目をつぶり、さきほどとは打って変わって確認をするように案を話し出しました。

つづく。

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