つづき。
山田の爺さんはてくてく歩いていく。すると、今度は川のほとりでジッと川面を見つめている若い娘の姿が・・・・・・・・・山田の爺さんは気にも留めず歩いておりましたが、
「・・・・と、とめないで!私は今からこの川に飛び込んでやる、死んでやるっ!!大好きなあの人を忘れられない・・・・・・今ではもう、好きかどうかさえ解らない・・・・・いや、憎い!!私を裏切って、元の嫁のところに戻ったあの愛しい人が憎い!!怨んでやる、呪ってやる!!・・・・・憎い、、、、でも愛している・・・・・許したい、、、、でも許せない・・・・・・・・・・愛しい人がどうしても忘れられないの・・・・・・・・・・・・・・」
山田の爺さんは一瞬、スル―してそのまま通り過ぎようかと思いましたが・・・・小さなため息をついて、手にした杖でそっとその女性の”背中を”押しました。
「きゃっ、何をす・・・・・・・・・・・・・・・ドボンッ!!!!!!!」
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豪快な音を立てて、川の中に落ちる娘・・・・・・・まだ心の準備が出来てなかったのか、そもそも最初から飛びこむつもりもなく誰かに救って貰いたかっただけなのか、その娘は水中の中でもがき苦しみ何とか空気の吸える水面をめざして必死に手足をバタつかせる・・・・・・・・・が、目の前にある筈の水面が、幾度と掻いてもなぜかあと少しのところで届かない・・・・・・・・・・・・。
(あぁ、、、私は本当に死ぬのね・・・・・でもいいわ。生きてるだけで辛いんだもの・・・・・あの人のいない人生なんて考えられない・・・・・・・・)
目の前が暗くなり、意識が遠のく中で・・・・・頭の中で”声”が響く・・・・・・・・
(これ、案ずるな娘よ。お前さんはまだ死んではおらんし、落ち着けば息は出来るじゃろうに・・・・・・・・)
一瞬、何のことやら理解できず、これがあの世かと思い始めた時に、気づけばその娘の体は薄暗い暗闇の中で浮いております。落ち着いて周りを見渡すと、どうやら川の中ではないらしい・・・・・・そして、普通に息も出来る?!
(あ、あなたは誰なんですか?!なぜ、見知らぬあなたまで私の人生の邪魔をするんですか?!・・・・・たとえ不倫と言えども、私は本気であの人を愛していた。あの人を信じていた・・・・・・。本当は心から愛しているんです、あの人を。手に入らないのなら、死んだほうがましだ!あんな人、二度と出会わない、あの人を忘れることなんてできない・・・・・・・・・・・・・・)
しばらく間を置いて、またあの声が頭に響き渡ります。
(仕方ないの・・・・・・・・・)
そうつぶやかれたかと思うと、一瞬にして彼女の周りの風景は変わりました。
どこかの家の中の様です・・・・・・・・
そこに見覚えのある顔・・・・・・・
・・・・・・・・・それは別れた筈の、あの”愛しい人”が家の中でくつろいでいる姿でした。
つづく。
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コメント:1
- ジュン 12-03-05 (月) 11:45
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百年の恋も一瞬のうちに覚める話ですか?
現実と妄想の境目~みたいなっ!
ごめんなさいm(__)m
夢が無さすぎました…?
“すず”さんのお話は…正直・・・・・
身につまされました(泣)