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神から恐れられた神のお話 ③

続く。

「・・・しかしじゃ。皆、同じと申しても強き神と弱き神では決定的な違いがある。ヒコにはそれが解るか?」

「・・・・・・・善悪でもなく、生きるとは”考える”という事・・・・・・・その中で、上に立つ神と下に立つ神の違い・・・・・・・」

「そうじゃ、違いじゃ。それにわしが天津の血族と縁を切り、この葦原中国をほぼ統一しておる者々に刃向かう理由がある。」

ヒコは考えました。少しずつ、天津甕星軍が闇夜に溶けていくようにその数を減らしていく中、燃え盛る炎を見つめるヒコの頭の中にはたった先程の過去もこれからの未来もないままに。

「・・・・解りません。」



「ヒコはまだ若い。今からの者じゃからの。・・・・・・話は変わるが、ヒコがよう釣りをしておった湖には魚が多くおったじゃろう。いくら数が多くても、一番小さく弱い魚は他の魚より餌も取りにくく、苛められて最後はこの世を去る。では、一番弱い魚を抜けばどうなるかと申すと、二番目に弱い魚が苛められる。反対に、一番強い魚を抜いても同じ事じゃの。二番目に強い魚が一番になるだけじゃ。」

「そうですね・・・・・。」

「これが自然の摂理、生存競争の中で万物は生きておる。魚も草木も・・・・・・・神も同じ事。これが湖の中の話なら良い。木々が生える山だけの話ならば良い。しかし、国となったらどうなる?」

「万物の生き物が生き物である限り、争いは絶えませぬ。国を考えれば戦は絶えませぬ。」

「そうじゃの。強き者と弱き者。その違いとは”愛”の大きさじゃの。上に立つ者は上の考え・上の欲・上の願い・上の向上心がある。しかし、下の者へは考えが及ばぬ。下の者はそこに留まるとしても、いずれ上に上がるとしても・・・・・そこにはそこの立場としての欲と願いと向上心があるじゃろう。上の者、強き者はそれだけ ”己以外に注ぐ大きな愛” がないと世の争いはなくならぬ。その大きな愛に自己満足やら見返りやらは求められぬ。下の者もいくら向上心と申しても、己を想う以上の己以外への愛がなくばどちらにしても上には上がれぬ。何も得られぬ。・・・・・しかし、今、わしらは戦の途中じゃの。」

「・・・・はい。今は戦の最中です。戦があると言う事は、上の者が上の者としての立場の、より以上の愛がないという事ですね・・・・・・・」

日頃、怒りの目を持つみか星様は微かに微笑み、その目は穏やかに揺れていました。反面、ヒコの目には涙が溢れます。

「何となくですが・・・・みか星様がおっしゃってた事が解る気がします・・・・・・」

「まだお前には解るまい。解ったとしても、それは頭で理解したのみ。本当の意味で解ったとは行動せねばならぬが、お前なら出来るじゃろうしの。今宵のことを・・・・この戦の事を生涯忘れるでないぞ。わしはわしの身を持ち、天津神族に最後までその事を知らしめる為、戦い抜くが・・・・・・たとえぶつかり合っても互いの”正義”じゃ。・・・・・いつかあやつらも解る時があるやも知れぬし、ないかも知れぬ。そしてこれはわし自身の戦い。命を落としている我が軍の民も、真の意味すら知るまい。」

「みか星様・・・・・ヒコの最後のお願いです。・・・・降伏して下さい。みか星様は民の、、、、国津神の最後の ”光” です。ここで自ら命を落とす事だけは・・・・・・」

「わしには過去も未来もない。案ずるな、わしはわしとして常世に行くだけじゃ。」

「ではせめて、みか星様の想いを皆に伝え・・・・・・・」

「ヒコ、酒がのうなった。悪いが取りに行って来てくれぬかの。」

頬を涙で濡らしながらヒコが戻った時には、天津甕星の大神様の姿はそこにはありませんでした。みか星軍のほとんどの神が軍を去って行った後、ぼんやりと立ちつくすヒコが最後に目にした光景は、一つの流れ星が吸い込まれるように天津軍の中に突き刺さり割れていった松明の光と、『まつろわぬ(従わぬ)神を討ち取ったぞっ!!』 との雄叫びだけでした。

終わり。・・・・・と見せかけて、その後。

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コメント:7

sangatu 10-12-03 (金) 23:36

こんばんわ

久しぶりに立ち寄ったところ、物語?って感じで何気なく読み進んでいったんですが...みか星様の言葉で過去の苦しい出来事や、現在に至る状況がめくるめく...渦をまいて...。
私もまだまだ頭では理解できても、行動はできていないのだなと思ったところでした。

ありがとうございました。

とり 10-12-04 (土) 9:25

夜、小さな炎を見ながら、ポツポツと良い話聞いた感じです…。
これからの心構えになります。ありがとうございました。

コリスロボ 10-12-04 (土) 10:24

本に愛の出来上がる順番があるって書いてありました
①家族愛
②郷土愛
③祖国愛
④人間愛

家族愛:両親や家族に恥ずかしい想いをさせたくないという気持ちが「犯罪を防ぐ」

郷土愛:美しい情緒が文化と学問を創造し豊かな心を育む。その人を立脚する大切なエネルギーとなりで家族愛の延長で懐かしいなあという気持ちを作り出す

甲子園で出身地を応援したくなるかんじかな

祖国愛:家族、郷土の延長「懐かしさ」には戦争を防止する力がある。

人間愛:自分を構成する要素や立場などの要因には作用されず物事に捉われない大きくて深いものの見方ができる
お金ではなく社会の為に動こうと考える

読んでいて、それらを思いだしました

kabosu 10-12-04 (土) 14:14

管理人様

求められているのは私利私欲のない「愛」なんですね・・。

むらぽん 10-12-04 (土) 21:43

切ないお話ですね。。。 龍馬にしてもマイケル(個人的に好きなんで(笑))にしても、愛ある人って味方も多いけど敵や誤解も多い。そして、夢や志半ばで亡くなっちゃうんですよねTT だからヒーローなのかもしれませんが。
「愛の水中花」歌っちゃいますよ~♪

かいづか 10-12-05 (日) 15:25

村雲兄さんお久しぶりです。貝塚です。時間あるときカフェに遊び行きたいのですが、いいですか?もし良かった連絡下さい。

管理人 10-12-11 (土) 16:34

sangatuさん
こんにちは。いろいろ忙しくて、物語が始まりました(笑)これ、楽なんですよね~スラスラと書ける。

とりさん
いいぇ~自由にいきましょうよ、自由に楽しみましょう!心構えなんて必要ないですって(爆)

コリスロボさん
お金ではなく社会の為に動こうとする、、、、そうすると人もお金も、欲しいものは勝手に付いてきたりもする、、、、地球と人のスーパーwinwinです(笑)

kabosuさん
どうなんですかね。愛そのものも欲だと思いますし、人それぞれでいいんじゃないですかね?

むらぽんさん
もうむらぽんさん、「愛の水中花」検索しちゃったじゃないですかっ!(笑)・・・・・あ、マイケルはすでに神です!

かいづかさん
どうぞ~お問い合わせよりメール下さい。時間が合えば。

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