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神から恐れられた神のお話 ①

すみません。本来なら、「神様への質問箱」の記事の筈ですが、いまひとつお尋ねできる質問がなかったので(質問して下さった方、ごめんなさい)、来週まで伸ばしますね。(引き続き、「神様への質問箱」のコメント欄にて質問を受付中)。すみません、只今休止中です。

で、今日は短編ですが、『神から恐れられた神』 のお話。はじまりはじまりぃ~・・・・・・・

「みか星様、大変ですっ!!武甕槌神(たけみかづち)軍と経津主(ふつぬし)軍が目前まで迫って来ておりますっ!!明々と軍の燃やす松明に囲まれております!」

従者ヒコが走って駆けよった先には、冬の寒い大地に仰向けに寝転がり星空を眺める武神が一神。この神が、「天津甕星(あまつみかぼし)の神」、別名 「天ノ香々背男(あめのかかせお)の神」です。



「案ずるなヒコ。恐れるに足らぬ・・・・あの二神では何もできまい。物見によれば、後から後詰に武葉槌(たけはづち)軍が援軍に来ていると聞く。それまであやつらも動けまい。ヒコよ・・・・お前はまだ少年に近い。今の内に軍を指揮し、少しずつ敵軍の囲いから我が民を抜け出させよ。わしの最後の命令じゃ。」

「嫌です、みか星様っ!!常世まで一緒にお供します!」

「ならぬ。わしがここに居る間は、あやつらは一歩も動けぬ。今の内に去れ。」

「絶対に嫌ですっ!・・・・・・・・・・我が軍に解散命令を出し、皆生まれ故郷に帰るよう指示します。・・・・しかし、みか星様・・・・・・私までここを去れとおっしゃられるなら、一つだけお尋ねしたい事がございます。」

「・・・・なんじゃ。」

「お仕えして一度はお尋ねしたかった事がございます。・・・みか星様は・・・・みか星様は何故、同じ血をひく一族の神々を何故そうお恨みになられるのですか・・・・・・?それを最後に聞くまでは、私はここを動きません。」

「ふっ、、、、たわけた事を。わしは天でもなく地より産まれた者でもない。ましてや、あやつらと同族なぞ・・・・わしの生まれは・・・・あそこじゃ。」

そうつぶやいた天津甕星様の視線の先には冬空に赤き光を放つ金星がありました。

「・・・・・まだ時間があるの。最後にわしの本心をお前に伝えて今生の別れとするのも良かろう。・・・・よし、酒を持て。よいか、この話を聞いたらお前は必ずこの陣を去るのじゃぞ。」

「はいっ!」

豊葦原中国(とよあしわらのなかつくに)の中で並ぶ者なしと謳われ、普段は寡黙で戦となれば鬼神として恐れられた神は、優しい目を従者に向けながらゆっくりと静かに語り始めたのでした。

続く。

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コメント:2

菩提 10-12-02 (木) 6:53

最近更新されている物語を読むと切ないような血が騒ぐような不思議な気持ちになります。この気持ちがきっと、確かに遠い昔に生きてられたご先祖様の子孫であるような気がして嬉しいです

大王の物語面白かったですこの話の更新も楽しみにしています♪

管理人 10-12-11 (土) 16:25

菩提さん
ありがとうございます。コメントを読ませて頂くとモチベーションが上がりっぱなしです(笑)

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