まずは台風19号で被害に遭われた地域の皆様、お見舞い申し上げます。
多くの方々がお亡くなりになられ、行方不明者も日を増すごとに増えておりますが、これ以上の被害の軽微なることと、速やかな復興をひたすら祈念いたします。
昨日は神祭仲間のY君と糸島の彦山に登ってきました。
「どうしたんですか急に。神様からご依頼がありましたか??」
「ううん、特には。ただ、登りたいんだよ。あそこには神社があるからさ、良かったら一緒に祈って貰えればと思って。」
道すがら、Y君と自分はいろんな話をしながら車を走らせる。
仕事のこと。
お互いの近況に心境。
最近、アジアの旅行者、あんまりみないよね~代わりにラグビー効果で西洋人の旅行者が増えたよねぇ~・・・・・などなど。
彦山は山の中でも小さな山なので、お酒一升を担いで貰い、ゆっくり登って往復1時間40分程度、登山素人の自分たちには丁度良い高さの山なのです。
2人は蜘蛛の巣に注意しながら、足元に転がっているイノシシのフンをお互いに注意を促しながら、時々、足を滑らせながら黙々と山頂近くの神社を目指して登っていく。
神様のご指示も、ご依頼も、何もございません。
ただ山に登りたかっただけ。
でも、山頂近くにいらっしゃるはずの、神様にお逢いしたかった。
とにかく祈りたかった。・・・理由を聞かれれば、これしか答えようがありません。
登るまで、登った後も神様のご神名さえ、知りませんでした。その日の夜、ようやくY君が、
「あの神社、素戔嗚尊様が祀ってあるみたいですよ。」
とのLINEを送ってきてくれ、ようやくご神名が分かる始末、、、、、
「台風、ひどかったよね・・・・」
登りながら用意してた台詞のように、どちからかともなく話題は台風19号と、その被害についての話になる。
「また、あれですかね。神様が、時代を昭和に戻してるんですかねぇ、、、、」
はっきりと口に出さずとも、Y君の心のわだかまりというか、底に沈んだ疑問ぐらいは自分でも良く理解できる。
『神様がいらっしゃるのなら、なんでこんな自然災害をぶつけてくるのか?』
でも、答えのない疑問はお互いに飲み込む癖がついちゃったのか、でもニュースをみて職場でも一応の台風対策はさせて貰って、福岡は暴風警報発令程度で済んだものの、ホッとしてニュースを追えば、家も車も家財も仕事道具も、収穫前の果物や野菜も、すべてが泥にまみれうつむき加減でインタビューに答える沈んだ人の顔と、氾濫した濁流の映像。そして亡くなられた方や、行方不明者を示す数ばかり。
「どうなんだろうね、、、神様のお考えなんて、ちっぽけな自分たちじゃ、分からんよね。」
一昔前、二昔前、古代より続く祭りとは、
『自然との調和』
いかに自然(=神様)を和め、災害から我が命や家族、村や属しているコミュニティを守っていくかとの勝負だったと思われます。そして、その結果は・・・誰も恨まない。天を仰ぎみることはあっても、天を恨まない。
スポーツではラグビー日本代表が強敵を破り、その勇気と誇りと強さを世界に示し、時間と共に気づけばニュースの画像は、川は決壊と、その濁流の恐ろしさと被害に遭われた方々の悲惨な状況。
彦山の山は反面が糸島有数の、別荘地帯となっておりまして、海が遠くまで綺麗に見えてそれはそれは美しい場所でした。
山頂近くでは山の風に混ざって海風でしょうか。とにかくビュウビュウと鳴り響き、少し開けた場所にひっそりと人を待つ社。それが彦山神社。
特に依頼された神祭でもなく、最初の言挙げは自然に口から出てきました。
「日頃は日々に、自分自身と向き合い、いろいろ嫌なことや辛いこともたくさんある毎日ですが、食う物にも困らず着るものにも困らず、屋根がある部屋で布団を敷いて寝ることが出来る自分たちが、テレビの画面の向こうでの状況を観て、”これ以上、被害が起きませんように”なんて祈っても正直言って、何の説得力もないに違いありません。ですが、今日、自分たちが少しでも祈ることによって、その祈りを受け取って下さり、神々様の”御力”と少しでも変えて頂き、起こして頂ける、私達が普段使う言葉で”奇跡”というものが起きるのであれば、どれほど役に立つのか、足を引っ張るのかも分かりませんがとにかく今は心を込めて祈らせて頂きたいと考えております。」
確かこのような言葉から始まりました。
人は本当に不思議なもので、自分に降りかかる予想できる災害が去って、ラグビー日本代表の熱い試合をみて勇気を貰い、ホロリと熱い涙が頬を伝ったと思えば、農家の方々が泥に使った野菜を廃棄している姿をみて、何とも言いようがなく言葉が出なくなる。
こんなに短期間に感情が右や左に動いても、毎日必ず日は昇り、日は沈んで朝と夜を繰り返す。
「まだ自分は生きてる。」
と何度も何度も確認し、やるべきことをやりつつ、変えなくちゃいけない事を変えていく。
『生きている。』
って本当に不思議で、
後ろを向けば、
「まだまだやれる事があったんじゃないか?」
「あの時、ああしておけば違ったのかなぁ、、、」
前を向けば、
「明日はこうしてみよう。」
「ここまでは辿り着きたい。」
・・・考え方ひとつ、想いひとつで色んな感情がわいて来る生き物なのですが、約2週間前ほどある人が言ってくれたように、
「人間の目は前を見る為に、前についている。」
との言葉をフト思い出し、世の真実は意外とシンプルなんじゃないかと思い、こんな時に不謹慎ですがフフッと1人で笑ってみる。
寝る前に嫁が教えたのか、誰が教えたのか知りませんが5歳になった子供が、
「今日もいい夢がみれますように!明日も楽しい日でありますようにっ!」
と暗い部屋の中で、布団に入って元気よく声を出しているのを聞けば、
なんの理屈も理由もなく、いろんな出来事の全てをひっくるめても、いろんな出来事がひっくり返っても、
(うん。このままじゃ自分はまだまだ死ねない。何もやっていないんだから。)
という想いが込み上げてきます。子供の”願い”って本当に純粋で、清らかで、幼くて、儚い。
なんてちっぽけで、なんてどんよくな願いなんだろうって、つくづく思います(^^;)
実家のTVの前で雄叫び上げたり、最大限の拍手をしている親の姿を真似してギャーギャー騒いでいる幼子をみて、「あぁ、可愛いなぁ~」と思えば、数日後には死者の数をみて「この中にはきっと、この子と近い歳の子もいるんだろう。。。」と考えてしまう自分がいる。
それでも自分は、この世界が好きで好きでたまらず、この先も1人でも多くの子が大人になって少しでも今の自分と同じ気持ちを感じてくれれば・・・・厚かましくも、浅ましくも、卑しくも、自分はこの世を去る寸前まで、神々様に自分の想いを送り続けたい・・・・・そう思えるのです。
今日も皆さんが、いい夢がみれますように。明日も楽しい日でありますように (^^)
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コメント:4
- ブーシュカ 19-10-18 (金) 10:42
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被害に遭われた方々、お見舞い申し上げます。憩える時間が毎日にありますよう、増えていきますよう、願います。
恨んじゃダメですか。手放せるならどんなに楽かと。ぶつかってくるくらいなんでもないでしょう。懐が深くあるから神様でしょう。人の感情が束になったところで揺れるくらいの柔さじゃつとまらないんじゃないですか。弱さをぶつけて良いですよ、きっと。しっかりしてください。 - もか 19-10-18 (金) 21:05
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いつの頃からか、災害が起きて被災される方達を拝見する度に「申し訳ない」という気持ちに襲われるようになりました。自分たちだけが無事であること、手をさしのべられないこと。せいぜい出来るのは寄付であったり物資支援であったりですが、生きている事の感謝を胸に、できることを模索していきたいと願います。
- 金シャチ 19-10-18 (金) 22:26
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こんばんは!
本当に台風の被害が日を追って増えてきましたね。
一日も早く、被害にあわれた方の暮らしが落ち着きますようにと
祈るばかりです。
言挙げの言葉と同じ気持ちです。
今回の記事で「人間の目は前を見る為に、前についている。」
この言葉が染み入りました、
先日の『自信は無くても前に進む』と、私の中で合わさり
『自信が有っても無くても、前に進んで行く!』となりました。
幾つになっても先の見えない事、多く、大きな不安と少しの
希望を背負って進んで行きます、たまには止まって腰を伸ばし
周りを眺め、まだ見ぬ景色も楽しみです。
何やら、宣言!の様なコメントになりました。(笑) - 管理人 19-10-20 (日) 18:51
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ブーシュカさん
そうですね、恨んだら楽です。手放せばどんなに楽でしょう。でも本当にそれで「楽」になれるのかな、、、神様を恨むことが手放すことになるのか・・・・何かを恨んで恨んで、恨み続けている人ほど、苦しそうに自分は感じてしまいます。まぁ、自分には答えは出ませんが、恐らく、「ダメ・ダメじゃない」の話ではないのではいか?そう考えてます。
もかさん
寄付や物質支援も、困ったり苦しんでいる人にとっては天の恵みではないでしょうか。自分は少額ながら寄付を考えております。東北の震災時でも思いましたが、出来ることを、出来る人がやればそれが一番だと思います。
金シャチさん
宣言、大いに結構ですよ(´ー`) 金シャチさんのような骨のある女性がもっと多く居てくれれば、また違った風を吹かせる事も可能なんでしょう!時々、お逢いして皆で酒飲んでああでもない、こうでもないとお喋りしてた時代が懐かしいですよね~でも、今はまたそれぞれが考える時期に来てるんでしょう。全国の皆に逢いたい・・・でも、それには今以上の自分でないと面白くないような気がしてます(´∀`)