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小さな少年の小さな夢。④

つづき。

パチンコ屋で知り合った人の言うことを半分信じて、半分は失うものは何もない!もう、どうにでもなれっ!という想いで、その人の紹介でとある東京の会社に就職しました。

東京は20歳をすぎたばかりの青年にはとても魅力的で、すべてが新鮮で、すべてが楽しい世界。

我を忘れさせてくれ、いろんな意味での「本当の自分」を誤魔化すには最適な場所でした。


「自分はやれば出来るはずなんだ。その為の経験なら積んできたはずだ。」



でも現実はそう言葉とおりにはいきません。。。。

・・・そんなしょうもない幻想をいだいた青年があれだけ嫌だったサラリーマンの世界で生き残れるはずもなく、、、、結局は、タコ部屋だった先輩と揉め、取引先相手だった百貨店のマネージャーともケンカして、出入り禁止を食らい、上司から呆れられたら幼稚な正論で戦う始末、、、会社にとっては自尊心だけが強いやっかいな社員だったに違いありません(苦笑)


結局3年も続かず会社を辞め、しばらくは東京で知り合った友人や、東京に出てきていた友人の家を転々と居候して過ごしましたが、4年目にしてその青年は心も空っぽのまま福岡に戻ります。


「自分はまた失敗した。」


帰りの飛行機の中でそう確信しましたが、実は失敗もしてなかった。

なぜなら、その青年は自分自身や自分の人生とその24年間、真剣に向き合ってさえなかった。

真剣な挑戦がなかったから、失敗もなかったんですよね本当は。


そして空っぽのまま、フラフラと向かった先は・・・・


「もう一度、あの人に会いたい。会って、いろんな話を聞きたい。」


唯一、空っぽの心が向かった先は7年前に一度、家族についていった時に出会った『魔法使いのオジサン』のところでした。

『魔法使いのオジサン』、実は魔法使いでもなんでもありませんでした。

その人は神様という存在が本当にいることを教えてくれた。

人にはさまざまな不思議な能力や可能性があるということを教えてくれた。

その人の人生に裏付けされた、生き方や考え方。信念や愛や情とはなにかを教えてくれた。


でも後になってその青年は気づきます。


すべては「教えられたこと」ではなかったこと。

それは、愛情豊かに、ただ誠意をもって、ただ根気よく、その身をもって『体験』させてくれた人でした。

一切の誤魔化しもなく、テクニックもなく、ただ淡々と真面目に自分の人生と向き合い顔で笑って心で泣いて、コツコツと妥協せず生きてきたその人のすべて。その言葉の一つ一つ。


その人の歩んだ人生を、すべて体験させてくれる。
身をもってすべて感じさせてくれる。

・・・今まで出逢った中ではじめての人でした。



ケンカも多かったし、その人の前だけでは幾度と涙を流しましたが、辛抱強さと信念の強さ。ついでに頑固さ(笑)だけは到底、敵うわけはなく・・・



青年はその人の元で、たくさん体験し、たくさん感じさせてもらい、またそれ以上にたくさん失敗もしてきました。


歳だけは食っていきあっという間に壮年となり、それでもまだ時々、要領の良さを捨てきれず、気を抜けば道をはずして痛い目にあい、調子にのっては泣きをみてまた慰めてもらい・・・

「自分の中にいる、幼い頃の自分」 を意識せざるを得ませんでした。

少年が青年となり、その青年が壮年となった中ごろ。

「このまま終わりたくない。」

そう本気で感じました。


それは「今の環境のまま、終わりたくない。」という意味ではなく、このまま

「本気で挑戦しない人生は嫌だ。」と心の底からその壮年は考えるようになりました。

つづく。

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