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自然から愛された神。五十猛様のお話⑧

  • 2014-11-30 (日) 23:48
  • 神様

つづき。

丹生の長の、独り言のような言葉はまだ続きます。

「あれは、、、、あれは、いつの頃じゃったろうかの。まだわしの手足がいうことを聞いてくれて、その足で大地を踏みしめられていた時の頃か・・・・・・その時の若者たちの姿をみて、わしは悟った。このまま土の神々、大地の神々、金(鉱物)の神々、そして氏神を怒らせ続ければ皆がバラバラになると・・・・・・・。そうじゃ、使いを出したのは丁度、今の時期の歳が変わる少し前じゃったかの・・・・・・・・」



この先、このような乱暴なみづかね(水銀)の搾取が続けば、一族が殺し合いをはじめてしまうと予想した丹生の長は、各地に信頼できる部下を多く派遣しました。


一つは世の情勢を探るため。


そしてもう一つは、同じく「みづかね」が産出されそうな地を探すため・・・・・・


つい数年前に、命をかけてこの地に戻ってきてくれた一人の部下の話では、この地よりはるか東にいくと陸が終わり、そこから舟にのって島をいくつも横目でみながら来る日も来る日も舟を漕いでいくと・・・・・・・・・・ある日、目の前には天を覆いかくさんばかりの、大きな山の島があると。

その海には海で生きる海人部族が存在しており、その祖先かひょっとするとその海人部族が枝分かれしたのか、そのまま陸にあがるとかなり雨が多く森林が多い山の麓にも大きな集落がある。

どうやらその山では、佐賀の山々と同じように赤土がとれ、さらにそれを加工してくれる職人を探している・・・・・・・との話でした。


「息子殿は、このわしの、、、、わしら丹生族の希望・・・・・あの姫神を連れて、その”木の国”(のちの紀伊国)に渡ってはくださらんか。そこで、、、、、そこでもう一度、わしら一族に機会を与えて欲しくての、、、、」


「・・・”機会”とは?」


「機会とはそうじゃの。最後の”土との語らい”ができる機会じゃよ。わしは見ての通り、もうすぐ黄泉の国じゃ。それはわしのじい様のじい様の、もっと上からはじまる氏神さまたちもすでに黄泉の国に旅立っておること、わしだけが残るわけにもいかず、ここまで生きられれば何ひとつ恐ろしゅうはない。

・・・・が、一番わしが恐れているのはわしら部族の誇り、”土と語らいあう”ことを止めてしまうことじゃ。わしの代でそれが途絶えれば・・・・・わしは黄泉の国で、じい様やそのまたじい様にあわせる顔がない。

せめてその希望を勝手ながら継いでくれる者を捜しておった・・・息子殿には息子殿の遂げねばならぬことも多かろう・・・・しかし、あの娘一人では難しゅうての・・・・。なに、丹生の名に思い残しはない。息子殿の名でよいのじゃ。せめて代々と継がれる一族の技術、誇り、魂を失うわけにはいかぬでの・・・・・

木の国でまた誰かに継がれれば、それでよきかな。これが最後のわしの戦じゃよ息子殿。」


五十猛様は黙って長の目が放つ、鈍くとも強い光をその目で受け止めております。


「・・・・そして、この気が枯れきる前に一人の男がわしらの守り神(白ナマズ)の導きによってここまできた・・・それがそこにおる息子殿、お主じゃ。」




「しかしご老人。血の繋がりなくとも、この村にも精悍な者も幾人か見かけたが・・・・」



「あの者らは無理じゃの。力の強いもの、頭の賢いもの、戦が上手いもの、土と語らえるもの・・・・すべては大切なものじゃが、ひとつだけなくてはならぬモノを持ってはおらぬ。」



「なくてはならぬモノ・・・・」


「そうじゃ。どのようなすぐれたものでも、”己と語れる者”でないとこの役はつとまらぬ・・・・」



いつの間にか部屋の入り口に控えていた屈強な若者が、どこからか水を器に汲み丹生の長の口元への持ってまいりました。一口それをすすり、若者に部屋から出るよう手で促してから丹生の長は話を続けます。



「しかしの、この世に一度生まれれば望む欲望が満たされず泣き叫ぶ者、また満たして生を謳歌する力あるもの、生ある内は続く安定を求める者。さらに己の欲をもとめ上を目指すもの。勇ましゅうてもよい。賢くてもよい。情けなくとも良い。己という存在からは誰一人逃れられぬ、、、、己の人生は己でつくられよう。すべてを手に入れた訳でもないが、それもまた良し。わしもまだ気が発する若かりし頃はそれだけでよかった。

・・・しかしの。今の時になって昔を振り返る時・・・・一体わしは何をこの生の中で残してきたのかと考えるわけじゃの、、、、考える時間だけはたくさんあったしの、ハ・・ハ・・・ハハハ・・・・。


己と語らえるもの、、、、その者とは決して己の想いだけで己をいっぱいにはせぬ。良い想いも、悪い想いも・・・の。」




「ご老人よ。わしには、よくわからぬ。ここまで時にゆるりと、時に汗を流し戦いも平和も多くの犠牲のもとここまでどうにか生きてはきたが・・・・ご老人の申しておる心境まで理解はできぬが。」


「そうか、、、、そうじゃの。まだ息子殿には難しいかも知れぬ。・・・・・が、お主はもう分かりかけてきておる。わしの目はもうほとんど見えぬが、お主の心の底にある光だけは見逃さぬ。」



「情けないことに、わしには未だに迷いしかござらぬ。」


「よい。それでよい。迷いがない者は己と語りあう機会もなかろう。そしてお主の迷いは、すべてがお主だけの想いで埋め尽くされてはおらぬ・・・・・・息子殿がこの役、引き受けてくださるのならば・・・・・・・・次からは、わしやわしら一族だけの戦ではなく、お主の心の戦ともなろう・・・・・・・・・・・・・」


「わしの想い、、、、、わしの戦・・・・・・・」



つづく。




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コメント:1

北斗七星 14-12-01 (月) 0:07

楽しすぎる。。です。。

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