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魔法の杖を持った神の話⑬

  • 2012-03-07 (水) 20:54
  • 神様

つづき。

くるくると宙を舞いながら、天に向かって空高く昇っていく山田の爺さんの”足”。すると、途中で飛んでいたカラスにドン!とその足がぶつかったかと思うと、ピタッとそのカラスの三本目の足に収まる。そして、「カァ~!」と一鳴き、そのまま三本足となったカラスは空の彼方へ姿を消した。

「な、なんじゃ、、、、今のは・・・・・・・・・・・・」

あっけに取られる村人と盗賊達。

一同が山田の爺さんに目を戻すと・・・・・・・・・・・・

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な、、、、なんと、そこには山田の爺さんの代わりに、隆々とした体躯を持ち、真っ赤に燃える髪は怒りに天を突き、静かな眼の奥底には今までみた事もないような憎悪と憎しみと悲しさをたたえた韋丈夫の武人の姿が・・・・・・・・・・・・・・!!

「・・・・・久しぶりに人間界に戻ったかと思えば、この様な役か・・・・・・」

静かに息を吐く武人、、、、しかし、その目は氷の様に冷たく、どこか悲しい。

「な、なんだ、お前は・・・・・・・・・・・・・」

慌てふためく盗賊達・・・・・・・

「お、お頭ぁ~~~!!・・・・・こ、こいつは、、、、ま、まさか・・・・・・あの天に刃向かった伝説の男、”天ノみか・・・・・・・・・・・”」

・・・・・盗賊がすべてを言い終る前に、武人が腰に剣をため放った鋭い一太刀の剣は、ヒュッと風の音を残して盗賊達の場所まで届き、その瞬間、すべての盗賊達の胴体は二つに離れて・・・・・・・一言も言葉を発する暇もなく、盗賊達は霧のように消滅してしまいました。気づけば、後ろにいたはずの村人たちの胴体もっ!!!・・・・・・いや、村人達まで切ったらシャレにならないか・・・・・・・

「ふふっ、、、当然、呼び出されたかと思えば、こんな仕事をさせおって。わしは静かに石の下でわしだけの時間を過ごしておったものを。しかし、見た事もない風景じゃの・・・・・・一体、どれくらい時間が経ったのかものか・・・・・・・・・・・面倒じゃ、もう一眠りするか。」

そうポツリとつぶやいて、武人が白い霧のように消え去った後には・・・・・・・あのいつものボロ衣を着た小汚い山田の爺さんが一人ぽつんと突っ立っておりました。

「な、なんじゃ・・・・・助かったのか?!わし等の命は救われたか??あれは・・・・・神の業か・・・・・・・?」

一斉に腰の力が抜けたように座り込む村人達。・・・・・が、今度は別の恐怖心に襲われ、誰一人として山田の爺さんに近づくものは居りません。

山田の爺さんは一本足でぽつんと立ちつくす。その姿は今にも消え入りそうに、段々と薄くなっていく瞬間・・・・・・・・

「おじいちゃん、待って!!」

一人の幼い子が村の男どもの隙間からかいくぐって、駆け寄りました!

「おじいちゃん、待って、行かないで!!おじいちゃんは、神様なの?!おじいちゃんは強いの?!おいらも神様になりたい!!おいらを弟子にして下さいっ!!!」

顔は半分泣いておりましたが、その子の決意は本物でした。

ボーッとその幼い子の顔を眺めておりました山田の爺さんは、ニッコリとはじめて笑ってこう言いました。

「ほっほっほ・・・・・坊主よ、神様になってどうするつもりじゃ?」

「神様になって・・・・・おじいちゃんみたいに強くなって、この村を守りたいんだ!・・・・・でも・・・・・・・でも・・・・おいらは弱い・・・・・・おいらは弱虫で、一度もケンカで勝ったことがないんだ・・・・・・・・・」

もうすでに、涙をこぼしながら山田の爺さんを掴んで離そうとしない子。

「ほっほっほ・・・・・・神様になって、この村を守りたいのか。おぉ、良い子じゃ、良い子じゃの。・・・・・強くなりなさい。強い人間には誰でもなれるぞ・・・・・お前さんもとっくの昔に、もう強い子として成長しておる・・・・・・・。」

「違うよ、おじいちゃん・・・・・!!・・・・・・今のおいらじゃ、大人にも勝てない。・・・・隣の子にだって・・・・・・うわぁぁぁぁぁっぁ(泣)」

「これこれ、泣くんじゃない。強き御子よ。・・・・・まことの強さとはの、己の弱さを知っておる者のことじゃ。相手を倒すことでも、相手に伝えることでもない。ただ黙って黙々との・・・・・・・・強さを決して表に出さぬ人間。これがまことの強い人じゃよ・・・・・わかったら、その手を離すんじゃ・・・・・・・・・・・」

「嫌だーーーーおじいちゃん、おいらを弟子にしてくれ!どんな事でも堪え忍ぶからっ!!神様になる為だったら、どんな我慢でもするからさっ!覚悟は出来ているんだ!!一生のお願いだよ、おじいちゃんっ!」

「ほっほっほ・・・・これは困ったの。よいかの、最後に覚えておきなさい。強い人間になりたい・・・・・それは大切なことじゃ。しかしの、”決意”と”覚悟”は違う。覚悟とはの、決して”我慢”したり”気合い”を入れることではない。ただそれは淡々と、やるべき事を積み重ねていくこと・・・・・・・・それが”覚悟” と申すものじゃ。またいつかどこかで会える日があるやも知れぬ。それまでに、誰に誇らずともよい、コツコツとやるべきことをただ淡々と、積み重ねておいておくれ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・う、うん・・・・わかったよ、おじいちゃん・・・・・。もう泣かない、おいらは強い人間になる。その時はおじいちゃんの弟子にしてくれるって、約束してくれよ!!」

「よし、わかった。その時にお前さんが積み重ねることが出来ていればの。」

山田の爺さんは、天を見上げる。

大勢の見守る中で、まるで風景とはじめより一体だったかのようにその姿は段々と薄れて消えていきます。

それを今は恐怖を忘れ、ただ茫然と山田の爺さんが消えゆくまで見守る村人達。もしかしたら、村の村民がこんなに心を一つにしたことは今までになかったかも知れません。

「おじいちゃん、最後に名前を聞かせてくれよ!」

「・・・・・・久延彦(くえびこ)と呼ばれておる・・・・・・・・・・・」

風に流され、最後に山々にまでこだました声も、いつしか消えていきましたとさ。

終わり!

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コメント:8

PAUL 12-03-07 (水) 21:09

かかしさんだったとは‼
意外な結末でした(^_^)☆

12-03-07 (水) 21:10

今晩は、村雲さん。

そうかぁ。山田のお爺ちゃんは、クコ様ですかぁ。ってか、アマツミカボシ様に変化するのが、戦隊モノのヒーローみたいでカッコいいじゃないですか!!しかも、ヤタガラスさんまで、ちゃっかり登場ですね。三本足の秘密見つけちゃいましたね(笑)

村雲さん、クコ様を臭いって書いて大丈夫なんですかぁ?まぁ多分、本当に仙人(世捨て人?)みたいな格好なんでしょうね。
アマツミカボシ様は、お不動様や蔵王権現様みたいな出で立ちで畏れ多い感じですが、本当は戦よりも違う事が好きなんではないのかなぁ。

海苔子 12-03-07 (水) 21:24

うわああああああ
ぐんぐん話に引き込まれて読み進んで行ったら
私の大好きな久延彦さまオチだったぁーーーー!!
嬉しすぎます。いろんな意味で。
ちなみに私の苗字も山田です(笑)。
てか大好きなのに最後まで気づかなかった私orz

反省の意味も込めて近いうちに久延彦神社に参りに行ってきます!

管理人 12-03-07 (水) 21:25

PAULさん
こんばんはーどもども、カカシ様でした!

尭 さん
でしょ~菅原道真様を登場させた時点で、時代錯誤だったんですがまぁいっか。と。臭い、、、は、本当は不味いんですが、それだったら一番最初の神様物語の、スサノオ様のお父さんがおかまちゃんになってる方で・・・・・・(爆)まあ一人でも多くの方が読んで下さり、何かを感じれたら神様も喜ばれる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・かも??

管理人 12-03-07 (水) 21:36

海苔子さん
久延彦様は皆に愛されてますね~(笑)お参りとは、、、やっぱりあそこですが、大神神社の中にある社かな??今回の京都鑑定の合間にまた行きたいなぁ・・・・「臭いって書いてすみません。」とお詫びしないと(苦笑)

小菊 12-03-07 (水) 22:10

ものすごい惹きこまれました!
そして、ものすごく考えさせられました。

私は、神話や神様のお話が好きなわりに余り名前を知らないので、皆さんのようにピンと来ないのですが、本当に大事なことを教えられた気がします。

この話を1冊の本にして、ずーっと持ち歩いていたい気持ちになりました。

いやぁ、本当に考えさせられたし、感動したし、素晴らしいと思いました。

もっち 12-03-07 (水) 22:11

管理人様 こんばんは。
久延彦さま 
たくさんの名前をつけられたすごいお方。
お話に引きずりこまれて、楽しみに読ませていただきました。
次の神様のお話もワクワクしながらお待ちしております。
尋ねられてもないのに勝手に希望なんですが、
いつか”天のうずめ様”のお話があれば教えていただきたいです。
それから、京都鑑定の神社紀行も楽しみにしております(笑)

hatadesu 12-03-07 (水) 22:37

♪───O(≧∇≦)O────♪
う~ん良かったー‼‼
ありがとうございました\(//∇//)\
他の神様の話しも聞きたーい!
次回作、期待して待ってます(^O^)/

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