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魔法の杖を持った神の話③

  • 2012-03-02 (金) 1:00
  • 神様

つづき。

山田の爺さんは、トボトボと歩いておりました。

そのまま村の外れの崖に差し掛かった時、崖の傍にうずくまり静かに声を上げないように泣いている男性がいます。その男性の足元には近くの野原で摘んできたであろう不器用な花束と3つ4つのまんじゅうが添えられておりました。男は爺さんの足音でふり返る。

「・・・・なんだ、変人ジジイか。びっくりさせやがって・・・・・・・・・」



山田の爺さんは黙ったまま。男は慌てて聞いてもないのに喋りだします。

「別に泣いていても恥ずかしくはない。オレはな・・・・・もう10年前にもなるが、その時は5歳だったかわいい娘っ子を亡くしちまったんだ。すずっていう名だ。可愛い子だった。・・・・・当時のオレはな、家を省みず飲みごとばかりに明け暮れ、酔っては散々家の中で暴れ、それでも暴れ足りずこの道のちょっと先にある神社の中で、さんざん博打を打って日頃のうっぷんばらしを派手にやっていたもんだ・・・・・かかぁが働いた小銭を使ってな。」

山田の爺さんは黙ったまま、静かに先を促すように黙って男性を見守った。

「・・・・・それがさぁ。よりにもよって・・・・・・ジジイも覚えてるか?10年前のあの大雨の日だよ。何を血迷ったんだか、あの大雨の日、地を揺るがす雷が鳴り響く中でオレの娘っ子は突然、家を飛び出し、この崖から転げ落ちた。多分、雨の中でオレを心配してくれたんだろうなぁ、、、、、、、なんであの日に限って・・・・あんな大雨の日に、、、、、、、、。」

「ちくしょう・・・・・ちくしょう!!オレの娘っ子を返してくれ!すずを返してくれよ!かけがえのない一人娘だぞっ!!オレは・・・・オレはどうすればいいんだ!!この10年、命日には花を供えかかぁと二人で作ったまんじゅうを供えているが、何の足しになるんだよぉ!!おい、ジジイ、聞いているのかっ・・・」

突然怒りに任せて錯乱し、掴みかかってくる男性を山田の爺さんはヒョイとかわしたかと思えば、手に握る杖でコツンと男の頭を叩いた。

「バキッ!!!」(あ、すみません”コツン”でしたね)

ぼんやりと意識が薄れていく男。その場で気絶し、崩れ去る瞬間に男は夢をみる。

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それは、見渡す限りピンクか淡い黄色か、そこにうっすらとブルーの混ざった広大な雲。その上に立つ、広い広い朱の色をした宮殿。男は心魅かれたまま、まるで操り人形の様にその宮殿に引き寄せられ・・・・・・・黒の太い柱の立ち並ぶ間より、そっと足を踏み入れてみる・・・・・・・・・・・・・・・・

今までみた事もない幻想的な世界。

一歩踏み込んだ瞬間に、その宮殿は外からみた以上に大きな広がりを持ち、なんとその中は無限に広がるたくさんの草木。山の香りと鳥のさえずりまで聞こえる。そして大きく木々の開いた中央の広場には、両側に並べられた石。

口をあんぐりと開けたまま、その興奮のためか体を動かそうにも男の体は硬直してピクリとも動かない。そうしている間に、突然と両側の木々の間からぞろぞろと出てくるのは・・・・・・・・・・・なんと、絵巻物でみた神々ではないかっ!!

それぞれに美しく長い着物の女性や、手に扇を持ち顔を伏せた女。またいかめしい鎧を身にまとい刃の長い刀の鞘を腰に携えた立派なアゴヒゲの武人、まただらしなく胸元を開いて手には酒の入った大きなひょうたんを抱えた中年。烏帽子を被り笏を持ち、静かに優雅に歩いている男性。そして、その時に男は気づかなかったが、一番隅の席には・・・・・・・ボロの小汚い布をまとった、山田の爺さんに似た姿形の老人が・・・・・・・・・・・・・・・・。


あっけにとられる中、口を開いたまま体の動かぬ男が一番驚いた瞬間・・・・・・

・・・・・・・・・それは両側に並べられた石に皆が腰掛け揃うと、ひと際目立つ一番奥の大岩の上に座るであろう、髪の毛を輪にして結わい首より勾玉の連なった首輪を胸に垂らした壮年の男が最後に入ってきた時・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・なんと、その壮年の男の手に引かれて入って来た若い女性は、まぎれもなくあの10年前に崖から落ちて命を落とした、”すず” に瓜二つの娘だったのです。

広場の中央に立つ、すずに似た女性。

中央の岩に腰を下ろした立派な壮年の男が、一通り周りの神々を見渡し、厳かでいてやさしい声で、静かに声を発する。


「皆、揃うたか。それでは今より、この御魂の行く末を皆で決めたいと思うがよろしいか。」


つづく。

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コメント:8

ゆきんこ 12-03-02 (金) 1:38

え~まだつづくんですか!!第3編でおわると思ったのに~(泣)
続きがきになります~明日も仕事だし~
できれば希望として「火曜サスペンス」「土曜ワイド劇場」の様に2時間完結が・・・

己亥ママ 12-03-02 (金) 4:13

おはよー!村雲さん。

偉い!よくやったね~
本日の只今よくぞ書きましたね!グッドjob

ありがとうございます。続きが楽しみです(笑)
ごめんなさい!
オバサンいじめじゃなく、逆だったね~
愛情たっぷり戴いてしまいました。ね!

とり 12-03-02 (金) 7:04

一晩中、更新されないかな~と思ってました(笑)
続きが気になる……

hatadesu 12-03-02 (金) 16:42

(; ̄O ̄)…そ、そんな…
マジですか~⁈
お願いです‼
早く続きをー(−_−#)

coco 12-03-02 (金) 17:49

私は神様のこういうお話が好きです。
村雲さん、ありがとうございます!
つづき、楽しみにしています♪

12-03-02 (金) 20:50

今晩は、村雲さん。

山田のお爺ちゃんは、老子様の様な方ですね。
ホントに『優れた』方とは、あからさまに自身の優れた才覚を表さないで、必要な時にだけ御力を示される人だと思います。

只、杖で頭ゴチンは止めてあげて下さい(笑)
そのまま、ゴー・トゥー・ヘブンするかもしれません!

12-03-02 (金) 21:15

続き、気になりますねぇ~。お願いします!(笑)
どんな展開になるのかなぁ。ワクワク☆

ジュン 12-03-02 (金) 21:59

管理人さま
こんばんは☆

わぉ~(゜゜;)\(–;) 

“すずさん”の行く末が…早く知りたい~(泣)

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