泥の人形（神様物語②） 誕生

つづき。

闇。漆黒の闇の中では、混沌も秩序もなくそれは一筋の光さえ届かない、美しい「漆黒」です。

その闇はすべてを飲み込み、どのようなものも同化させていく・・・・・・・「無」。すべてにおいて他の色が混ざらない、もしくはすべてを飲み込む色の黒一色であれば、それは＝「無」ともいえます。罪や穢れの中で、少しでも光をおびたものはゆらゆらと揺らめきながら、上を目指して天界へと戻っていく。そしてそこに残るのは、また闇、無。おかしなことに、この天界と闇は上手にバランスが取れ、双方になくてはならない存在として両立していきます。・・・・・・最後まで神々様も想像もできなかった『人間界』 の歓迎されない「副産物」ができるまでは。



時は少し戻り、いざなぎ様といざなみ様が千引きの石をはさみ対峙し、

「いとしい夫であるいざなぎの神！私に対してかくも酷き仕打ちを行うのなら、天乃益人等（あめのますひとら＝人間）を毎日千人しめ殺してあげましょう！」

「なんという事を！愛しい妻よ、あなたがそうするなら、わたしは毎日千五百人の天乃益人等が産まれるように産屋を立てよう！」

いざなぎ様といざなみ様は御親の神。そして、大祓の祝詞にも出てくる『天乃益人』とはわたし達、今を生きている人間のことです。いえば、生きている人間はすべて神様より生まれた子、、、、、神の子孫なんですよね。

神も人（神の子孫、人間）もかならず存在するからには「罪・穢れ」がその魂に付着します。いざなぎ様は人の心に付着する、『罪』『穢れ』 を取り除くシステムを確立させる為に、まずは自らが実践してその罪や穢れを取り除きます。そのシステムが、『禊ぎ（みそぎ）』 と呼ばれるものです。

漆黒の闇の中、禊がれたものは再度、光を帯びて天界に上り1500人の魂の元となって生まれ変わってくる。（この1500人の数はなにを根拠にしているのかは分かりません（汗））

肉体がある限り、日々黄泉の国に旅立つ人間と新しく生まれてくる人間。

人口がどんどんと減っている現在では、このいざなぎ様といざなみ様の力関係が逆になってしまったんじゃないかと疑ってしまいたくなりますが、実はここで御親の神も、また御親の神より上の神々神世七代（かみのよななよ・国之常立神様から～いざなぎ・いざなみ様に至るまでの７柱の神）も予期せぬ事態が静かに進行しておりました・・・・・・・・・

・・・・・・そうです、漆黒の闇（無）によって消化される筈の「罪穢れ」が、あまりの人間の欲の大きさによって完全には消化できないほどの大きさに膨れ上がっていたのです。

満たされない欲は、次々と新しい欲を生み出しました。

欲とは見たかを変えれば、向上心や希望や勇気の原動力となるもの。神や人、動物にとって生きる為には必要なもので、愛や情と共にその根源にあるものです。ですが、次々と生まれる人間はその内、向上心や希望や勇気、行動することを忘れ、その分、悩みや思いによっうて足りない部分を時にごまかし、時に埋め満たし、、、、、それでも消化できないまま、ひたすらに欲を生んでしまう結果となりました。

無限に生まれてくる欲は、腐臭を漂わせます。

それはまるでヘドロのように、底に溜まってしまい・・・・・・・・突然、「念」となり、念は形となって姿を現しました。その形は、、、、、、そう、それはまさしく「人間」の形をしたものです。

つづく。

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