つづき。
山田の爺さんは、そろそろ止まればいいのにまだまだ歩き続けます・・・・・・
ある一軒の、村一番の裕福な庄屋の家を通り過ぎようとした時、玄関の先で大きな桐の箱をかこんで、なにやら男二人と女一人がこそこそと話しておりました。どうやらその三人の兄弟は庄屋の息子・娘で、山田の爺さんをみつけるとこう呼びかけました。
「おう爺さん、丁度よい。お前が証人となってくれ。」
「なにこのジイサン、臭い・・・・・大丈夫なの、こんなジイサンにお願いして。何だか薄きみ悪いわ、、、、、、、、」
「・・・・それがいい。こんな変人だからこそ、かえって他人は避けて通る、秘密が漏れんかも知れん。」
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好き勝手に話していた3人は強引に山田の爺さんのボロ衣のそでを引っ張り、大きな桐の箱の前に一緒に立たせました。その桐の箱はとても豪華で美しい宝飾がされた箱・・・・・・どうやらこの箱を今から開けるようです。
「これはな、オヤジが後生大事にしていた箱なんだ。ついさきほど連絡があってな。隣の村でどうやら事故にあって死んでしまったらしい。そこで・・・・・だ。今からオレ達はこの残された遺産に手をつけようと思う。わしは跡継ぎだからな、箱を開く権利がある。数年前に亡くなったオフクロも言ってたしな、父が亡くなればまず、この箱を開けろと。」
長男は胸を張って、えらそうにそう答えました。
「父は偏屈で、頑固で、とてもケチな人だったの。どんな時もお金に走って、全国を飛び回り、春も夏も秋も仕事のことばかり。冬の寒い時期なんて、暖をとるための炭さえケチって・・・・・・・私たちのことなんか省みず、一度も遊んで貰った記憶さえないのよ・・・・・・・この箱の中には今まで貯め込んだ財産が入っているんです。」
長女は涙ながらに、山田の爺さんに愚痴をこぼします。
「いや~危ないところだった。これでウチは米屋や油屋の支払いが間に合うぞ・・・・かかぁが泣いて喜ぶに違いない。あぁ、そうだ・・・・ウチの子らにも、なんか旨い物を食わしてやらないとなぁ・・・・・・いや~オヤジもようやく子供孝行してくれたもんだ!オヤジには申し訳ないが、これはありがたい・・・・・・・・・」
次男は、貰えるものはなんでも貰いたいと今すぐにでも桐の箱を壊しそうな勢いです。
「そこで・・・・・・・だ。爺さんに証人になって貰って、今からこの桐の箱を開ける。そして、3人が平等に中のものを手に入れられるか、きちんと見届けておくれ。」
山田の爺さんは突っ立ったまま、興味なさげにぼんやりと見ている。
「なんだ爺さん、耳が聞こえないのか?まあ、いい。・・・・・・・・・・・丁度いい。お前が持っている杖をちょっと貸してくれ。」
山田の爺さんの返事も聞かず、長男は強引に杖を奪うとそれを桐箱の鍵が掛かった部分に差し込んで力を入れる。ギリギリと音はするが、鍵は小さくても丈夫なのかなかなか開こうとしない。
「・・・・思ったより、頑丈な鍵だな・・・・・・くそう、なかなか開かない・・・・・・」
「兄者、がんばれ!!早く中が見たい。これだけ重たい箱だ、きっと中身は・・・・・・」
「兄さん、あまり力を入れ過ぎて中のモノを傷つけないようにお願いね。もしかしたら、高価な骨董品かも知れないし・・・・・・」
長男の額に汗が噴き出す。
その内、焦れた弟が一緒に手伝って、差しこんだ杖に体重をかけ力を入れる。
「兄さん達、がんばって!!」
居てもたってもいられなくなった娘も、一緒に杖に乗って3人で協力してその箱を開きに掛かる・・・・・・・・・・
「・・・・・・ギギ・・・ギ・・・・・・・・・・・バキッ!!」
凄まじい音を立てて小さな鍵がはじけ飛んだ時、同時に山田の爺さんの杖も・・・・折れてしまっておりました。しかし、3人の兄弟はそれさえ気づかない。それどころではありません。
「よ、よし、開いたぞ!!開いた!やったぞっ!!!」
急いで箱の蓋をはずしにかかる3人達・・・・・・・・・
そしてついに開かれた箱の中身は・・・・・・!!
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つづく。

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コメント:2
- ふしみ 12-03-06 (火) 20:27
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自分の行いの責任の取り方。
頭で考える事ではないのかもしれないけど。
どういう事なのか良く分からないです。
こういうことなのか、と感じられる時が来るのかな。
…責任取れるのかなぁ。
正直怖いですよ。
神様は平等ですもの。
慈悲深くてお優しいけれど、背負うべき結果はきちんと本人に返すお方ですもの。
でも怖いと思うという事は、自分自身を真っ直ぐ見つめる事が出来ているという事でしょうか。
ほんの少しだけ成長出来ましたでしょうか。
「だって」「なんで私だけ」「どうして」「あの人は良くて私は駄目なの」「違うのに」
言わない事は出来ても、思わない事は難しい。
なれるかなぁあの白い小さな花に。 - 管理人 12-03-07 (水) 21:43
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ふしみさん
あんまり難しく考えなくていいですよ。一つはっきり言える事は、ふしみさんが生きているだけで、ふしみさんが生まれてきた責任は取れてる・・・・が第一。次に、”責任”とは時に人を向上させる。責任を果たそう!とする前に、まずは”挑戦しよう!”が先に来ないと(笑)第三に、「怖いと思うという事は、自分自身を真っ直ぐ見つめる事が出来ている」・・・・・これはなかなか出来ることじゃない!大きな進歩だと思います、自分の事は棚に上げてですが(爆)まず神様を”喜ばせること”からはじめましょう!どうするのか・・・・・簡単です、自分達が努力して、さらにより楽しんで生きること!