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神様物語② 小柄な老人

  • 2020-01-20 (月) 14:21
  • 神様

つづき。

小柄な老人は静かに話はじめました。

「そうじゃの。はるか昔、その青年と逢うた時も、その青年は半分、ベソをかいての。海辺に座り込み、何やら思案の最中じゃったよ。」

「・・・・・・・。」

「聞けばどうやら大王の娘を妃にもらったは良いが、邑造りを任され、自分には到底無理じゃと嘆いておったの、ははははは。」

「む、邑づくり・・・ですか・・・?!」



「そうじゃ、”邑造り”じゃ。今と違うて、民の数もまだまだ少のうての。・・・しかし、その者の背中には邑全員の命がかかっておった訳じゃ。当時の流行り病、民が増えればその分の水や食料の確保、村民同士のケンカや争い、油断をすれば近くの邑の民まで襲ってもくる・・・・その村の周りには塀を立てて防がにゃなるまい。」


いつの時代の話なのだろう・・・そもそも外国の話なのか、、、、

このご老人は失礼ながら、どこか頭の調子が悪いのであろうか・・・・

青年はいろんな疑問があれこれと頭に浮かんだが、話の続きが聞きたい衝動には敵わなかった。


「その妃の父、大王はの。わしも数回、遠くより眺めみたが、そりゃ~立派な漢じゃったの。体躯は人一倍大きく、力も強い。物静かで知慮深く、民を想う情も深い、、、ひとたび放つ怒声は天地を揺るがすほどの漢じゃった。あれにモノを言われれば、断れる人間もそうおるまい。」

「その大王は歳を取り、さすがに力は衰え、静かに考え込む時間も長くはなったがの。それでも黙って座っておるだけで、多くの民が思わず頭を垂れてしまう、そんな威厳がある漢じゃったの。・・・しかし、、、しかしじゃ。”孤独”ではあった。これも偉大な為政者のさだめかのぉ。」


「は、はぁ・・・・・・」

話がずれだしたとその老人も感じたのか、自然に話はその大王と呼ばれる男の家に婿入りした、老人の知り合いの話に戻る。


「さての。たまたま海で知り合った男、、、、まぁ、今ではしばらく会ってはおらぬが、こやつも立派な青年から偉大な大王と呼ばれるほどの漢に成長してくれたが。元々、研究熱心な男での、繊細で凝り性でもあった。」

「わしもちょこちょこと、いろんな地方で知った智恵は貸してはやったが、一番大きな教えはたった一つ。”土の声” を聴くことかの。」

「・・・”土の声”・・・ですか。」

「そうじゃ。邑づくりと言うのはの、基本は ”人” にある。何かを成し遂げよう、仲間と集まって目標を創り、達成させようとするならば、”人” あってのこと。信頼し、時にはぶつかり、相手を思いやり、互いに切磋琢磨していけばそれで良かろう。

・・・・しかしの。”邑を造る” そうなれば、人が立つ、”大地”・・・言えば、犯せぬ ”自然” じゃの。その声を聞かねば、、、、また真っ直ぐに聞けぬ者には、人をまとめられぬことはおろか、人を立たせることも出来ぬ。」


「・・・は、、、はぁ・・・・。」



煙に巻かれたような、、、、肝心なところで話が天高く飛んでしまったような拍子抜けした青年の顔を、ニコニコと笑いながら老人は続けました。


「はははは。”土の声” を聴く。これはすなわち、分かりやすい話が ”己との語らい” になる。それは、ただ目の前のことに、”悩む・考える” とは違うての、、、、そうじゃの。話は変わるが、お前さん、なぜ人は ”自然” を観た時に、心が感動したり、豊かになったり、慰められたり、勇気をもらったり・・・時には理由もなく涙が流れる訳がわかるかの?」

「・・・いえ。考えたこともありません。」

「まぁ、今の日常ではそのような事を考える暇もなかろうかの、はははは。理由は簡単での、お前さんも、遠い昔のわしもの、この社に祀られている神・・・なんと申したかの、、、、まぁ、名前はどうだって良い。元々は、自然より生まれ、自然と共に生き、死ねば自然の中に消えてゆく。そうじゃろ?」

「・・・・はい。」


「わしらの足を支えてくれている、この大地。どこまでもどこまでも、続いておる。海の水で妨げられておっても、その水の深い深い底ではありとあらゆる所と繋がっておる、この大地。”土の声” とは ”自然” との語らい。”自然” と本気で向かい合い、語らうとはの・・・・”己” と向き合うことじゃよ。己の、深い深いところ。また深い海溝のように一生かかっても覗けぬ部分や、隠れている部分や、あの山の頂のように尖っている部分・・・・・ひょっとすると、幼い頃まで、赤ん坊近くまで心を戻さねばわからぬ、そんな部分まで己を戻さねば語りあえぬ部分もあるやも知れぬのぉ・・・・・。」

「それを知ること。掴むこと。これが ”土の声” を聴くこと、かの。そこから先を創造できれば、それは ”土との語らい” にもなってこようかの、ははははは。」


ひと息ついた老人は、またひと口と静かに酒をふくむ。

青年は我慢できずに、老人に質問をしました。


「話は半分以上、理解はできるのですが、、、今の自分とどう関係があるのか、納得は出来ておりません。・・・その前に、ひとつ質問があるのですが。」

「・・・ん?なにかの??」

「そこまで知慮深いご老人であれば、今の自分に足りていないものや、必要なもの・・・・・いや、もっと大きく自分の進むべき道・・・・何か参考までに教えて下さいませんか?」

「はははは、そう焦るではないよ、まだわしの話は終わってはおらぬし、それを聞いて良いのは ”赤子” だけじゃ・・・・しかしの、これだけ長く生きていれば、同じような事を尋ねられたことも、もう数えきれんぐらいあるにはあるが・・・・。

よいかの、人が申す宿命や天命と呼ばれるもの。これは己が創りだす、いや、その者自身が定めるものじゃよ。おぎゃあと泣いてこの世に生を受け、その時点ではどの魂も色はない。・・・・が、そこから環境や状況によって色はついていく。その色の中で、己自身が描く人生の絵を創造する。それを人は、宿命や天命と呼んでいるだけじゃろう。」

「・・・・・・・。」

「厳しいことを申せば、今までの人生で土の声を聴かず、語らいもせず、さて残り少ない人生を大切にしたいからと答えを内からではなく、外に求めたものが、まことに己の人生を歩いたことにはなろうかの、、、、。」

「・・・・・・・。」

「人ははじめに与えられて育つ。乳や飯や、愛や憎しみや縁、人それぞれ与えられるものは違う。いずれも ”感謝” をすることによって、与えられたものの”価値”を”知り”、その ”価値” の中から ”己の進むべき道” を見つけ、道の先を創造することによって己自身が”光輝く”。その輝きは後へ続くものの先を照らしてくれる。目標や道しるべになる。

あの時は大変だったが、今になってみては・・・・と、社会の理不尽にも心から感謝するものも、時には多かろう。あれはの、与えられたものを己の血肉とした証じゃの。

まぁ、今の寿命にしての、与えられるものが多い年齢は長くて30歳ぐらいまでじゃが今の時代は与えられることに慣れ、与えられて当たり前じゃと開き直ったり、努力も知らず力の出し惜しみをしたり・・・幼い頃に情を与えられなかったと幾つになっても未練がましいことを言うておる人間も増えてきての、、、、、それを神々に祈る・・・いや、祈るフリをして押しつけ責任を取れという、、、、神々にしてもさぞ迷惑な話じゃろ。丁寧に頭を下げて、居直り強盗しておる輩じゃからの、ははははは。」

青年の脳裏にようやく、”おみくじ” という言葉が思いだされました。”おみくじ” ぐらいは神様に背を押してもらいたい、勇気を貰うための小さな誓約書。これぐらいは良いのではないか・・・・・と。

「まぁ、話しはそれたが、その青年の話を続けようかの。」

少し寂しそうに笑った老人は話を続けます。


つづく。

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コメント:1

25ちゃい 20-01-20 (月) 21:37

毎度毎度この手のお話はど正論が突き刺さり、気持ちがいい〜です、ふぁぁぁ

コメント
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