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自然から愛された神。五十猛様のお話⑩

  • 2014-12-01 (月) 16:37
  • 神様

つづき。

意を決した重さを持ちつつも、それを感じさせることもなくただ自然にでた五十猛様の言葉に、スサノオ様は眉ひとつ動かさずこう尋ねました。

「東か、、、どこまでの東か?」

「はい。遠く遠く、太陽が昇る根本までの東でございます。」

「・・・・そうか。幾年か前には、ニギハヤヒが多くの兵を連れて同じく東に向かったの。今ではその地をよく治め、地はよく肥え、大きな豊かさを得たと聞く。ぬしはその先の東まで行くのか?」

「・・・・いいえ。わしはその手前、ニギハヤヒの地は踏みませぬ。」



年々伝わってくる話によると、弟神であるニギハヤヒ神は今では肥沃な大地と荒い山や滝の多い自然の中で新しい国をつくったと聞いておりました。

はじめは強引な方法をとったこともあったと聞いておりますが、今ではその大自然の中の神々を慰撫し、喜ばせ、どんどんと人口も増え、よいまつりごとを行っているとの話でした。


スサノオ神はおっしゃいます。


「・・・・・して、その国にて主は何をするのじゃ?」

「はい。わしにも何をするのか、何ができるのかは分かりません。・・・・・が、そこに答えがあるとしか今は思えませぬ。」


腕組みをしたまま、しばらく目をつぶり考えて込んでいたスサノオ様でしたが、次にこうおっしゃいました。


「ぬしもまた我が国を離れ、旅立つか、、、、、血は争えぬな。・・・・・・・それも良かろう。わしとの約束を覚えておるか。ぬしが南へ立つ前のことじゃ。」


「はい。東の旅には南の大王、丹生の族長の娘を連れてまいります。」


「おぉ、丹生の娘か。・・・・・・・それもよかろう。・・・・・・これがわしとぬしの最後の別れになるやも知れぬの。しかし、この世に太陽と月と星がある限り、わしら一族はどこにいても一緒じゃ。それを忘れるでないぞ。」

「はい。肝に銘じておきます。」

「わしが亡き後、この地はぬしの弟神でもある彦火々出見(日子穂穂手見の命)に譲ることになるが依存はないか?」

「はい。仰せのままに。」

「よかろう。いつ頃立つか?」

「・・・・はい。暖かくなり、次の花が咲くころには出発いたします。」

「・・・・よかろう。準備をいたせ。」

「はい。大王スサノオ神、、、、父神様、今までお世話になりました。」


そこから五十猛様は元旦の祭りの準備の中で、同時進行で旅の準備をはじめました。その最中、南の大王丹生族の長がついに気が枯れて黄泉の国へ旅立ったとの話が伝わってきました。


(そうか、、、、ついにあの老人が黄泉の国へ・・・・・・・ご老人、最後の最後まで戦い抜かれたのじゃの。否、まだあのご老人のこと、黄泉の国にても戦いは続いておろう・・・・・・わしも偉大なスサノオ神の魂を継ぎ、ご老人の魂を継ぎ、違う道じゃが同じ戦を継いでいこうと思う・・・・・・・黄泉の国より、加護を頼みます・・・・・・あの姫神、今はどうしておろうか・・・・・・・)


焦る気持ちを抑え、毎日をこなしていく中である日、部下が急いで報告にきました。

「五十猛様、ここより少し西に向かったところに素晴らしき杉の森を発見いたしました!急ぎ皆を集め、伐採に向かってはいかがでしょう?」


「おぉ、そうか良くやった。それではお前が皆を引き連れ木を伐ってきてくれはしまいか。・・・・・・そうじゃの、半分切りたおし、半分はそのまま残してくるのじゃ。」


「半分、切り倒し、半分、残す・・・・のですか?」


「そうじゃ。その半分は均等に振り分け残せ。良いかな?」


「・・・・・五十猛様、、、、お言葉ですが、ここで我々がすべて持ち帰らないと、いずれ西の部族が根こそぎ持っていきましょう・・・・・・・」


「・・・・うむ、そうかの・・・・・そうじゃの、その時はわしらの木を半分、その部族に与え、まだ生きておる木は守り通すのじゃ。」


「えっ?わしらが伐った木を半分、渡すのですか?!それは何故に?」


「よい。その通りにしなさい。その理由は、、、いずれ・・・・・いや、まだ若いおぬしでは分かるのはもっともっと先かも知れぬの、はははははは!」


(わしらが見つけた森、ここですべて伐り倒さねばいずれ誰かが持っていく。すべて刈りきればその分、東へいく舟も多く、早く作れるというのに・・・・・・・五十猛様も昔から変わっておったが、南へ出向いてなにかまた変られたの、、、、、しかし、しばらくふさいでおったが最近は明るくなられたような・・・・・)


つづく。

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コメント:2

14-12-01 (月) 20:20

村雲さん、お疲れ様です。
五十猛大神様は、知足の心と分け合い、共に協力する心と思い遣りの心を教えて下さってるんですかね?

でも足るを知る心や分け合う心を何時も忘れてしまう私は反省ばかりです。

自分を陥れた相手を赦し、思い遣りをもって接する事が出来ない事が多いです。
何とも狭い、情けない気持ちになります。

どうしたら五十猛大神様の様な大きい心が持てるのか…。考えさせられます。

のんの 14-12-02 (火) 18:20

久方ぶりの訪問です。春に福岡から大阪へ越して参りました。丹生都比売神社に二度お参りしました。丹生族は佐賀辺りにいらしたのですね。とても親近感を感じます。丹生都比売姫神社は大好きです。 五十猛大神様も大好きになりました。

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