- 2012-07-20 (金) 23:57
- その他
つづき。
ストレスのない生き方はあり得ない。そして、トラウマになる可能性のある状況は本能的なものであり、意識的にコントロールできるわけではない。トラウマになるかどうかは、私たちが意識的に決められることではなく、自動的(オートマチック)な反応である。・・・・だからと言って、めげたり落ち込んだりする必要はありません。次に必要なことはまずは2つだけ。
・トラウマは欠点ではない ・ストレスは自分たちを成長させる鍵となる
その為には、自分たちはストレスやトラウマ体験の見方を変える必要性があるのかも知れません。
トラウマの克服と治療①②③でピックアップさせて貰ったように、トラウマのメカニズムはほとんどどの人にも当てはまります。大なり小なり、味わったことがある人も多いはず。トラウマは、「欠点」ではありません。トラウマとは、「生き残るという唯一の目的の為に起こる、体のさまざまな組織の連動であり、すべての生き物の共通的な本能」です。「嫌なことに不快感を感じる」ストレスも同じこと、決して欠点ではありません。
「私たちの健康に害を与えるのは起こったことそのものではありません。それに対する私たちの反応が原因なのです。」
もう一度まとめてみます。ストレス・不安・トラウマが自分たちを苦しめる原因を。
①HPA軸で作られた化学物質が起こすいろいろな体への現象を自分たちの自我(エゴ)で止めているから
②普通はストレス状態が終わるとHPA軸の活性化状態を収束させる(解除される)=リラックスされるが、「思考」とは別の場所にあるため収束させることが苦手だから
③その場で吐き出すことの出来なかった「防衛本能から作られた体の反応」を上手く消化できてないから
一番やばいのは①です。
自分たちは大人になる時に、苦しいことには我慢しなければいけない・大人として恥ずかしいことだ・・・・・と思い込み人前で泣くことさえ我慢するようになってきました。また「トラウマの克服と治療③」で述べたように、自分でも勝手に 「練習が足りない」「気合が足りない」 などと違った形で理由づけをして、本能からくる活動を頭で押さえ込んでしまうのです。
②③に対してかなり有効だとされているのが、これも自然生理現象の一つ『震え』だそうです。体が震えはじめると、それは慢性的な緊張を解放します。
「白熊を上空からヘリコプターが追跡をします。それをストレスと感じる白熊はとことん逃げますが、ついにストレスと緊張の限界まできて体は硬直し倒れこみます。ヘリコプターが去った後、硬直から抜け出すと、今度は激しく震え始めます。仰向けか横になったまま手足を空中で動かして”走る”動作をします。硬直状態になる直前に行っていたことをやって、トラウマに生じたエネルギーを放出するそうです。しかし、うまく放出できない、硬直をうまく終わらせることができない動物もいます。」
「しかし、うまく放出できない、硬直をうまく終わらせることができない」・・・・・・これを自分たちに置き換えた時、はたしてまともな日常生活はできるのでしょうか?100%以上の力で挑戦できますか?これは本能的な防衛手段、根性ややる気で片付く問題ではございません。
「活性化して産出された化学物質のうち、トラウマ体験の間に使われずにあまった分を震えることによって捨て、自然と不活性化する必要がある。この震えが脳にサインを送り、危険が去ったので警戒態勢を解除する必要がある・・・と知らせる。」
これが「震え」の原理。そして、一番影響される筋肉に反対にこちらからアクションをかけ、関係する筋肉をほぐす(震えを発生させる)ことによって、逆に「心にアプローチしよう」というのが、この人生を変えるトラウマ解放エクササイズ
です。震えとは決して弱さのあらわれではなく、体を超興奮状態から覚ますための原始から人間に備わっている自然現象。本の最後にのっているエクササイズは驚くほど単純ですが、本当に自然にプルプル震えます。自分には効果はありました。緊張と不安が嘘のように消えました。
そして忘れてはいけないことは、
・トラウマは欠点ではない ・ストレスは自分たちを成長させる鍵となる
長くなったので、一度切りますね。
つづく。
- 次の記事: トラウマの克服と治療⑤ ストレス・トラウマが未来を開く
- 前の記事: トラウマの克服と治療③ トラウマのメカニズム
コメント:1
- kabosu 12-07-21 (土) 1:19
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村雲さん。
1冊の内容を簡潔に分かり易く要点をとらえて説明してくださって・・。
その理解力・文章力に脱帽です。
ストレス・トラウマは”癒すもの・治すもの”だけではなく、”身体と心から解放出来るもの”なんですね。
まずは実践です。